スポーツ視聴は月額1万円が当たり前に

 YouTube TVは現在、「NFL Sunday Ticket」を提供する唯一のサービスだ。NFL Sunday Ticketとは、加入者が日曜午後のNFLの試合をすべて視聴できるようにするサービスで、衛星放送サービスDIRECTVが長らく扱っていたが、2023年にYouTubeに移行している。

 そして2024年シーズンには、NFL Sunday TicketはYouTube TVの加入者向けに、379ドル(約5万8000円)で提供されている。

 スポーツに特化したライブ配信チャンネルではどうか。Fuboというサービスに注目してみよう。

 Fuboはサッカー専門の配信サービスとしてスタートし、現在はNFL、NBA、MLB、NHL、MLS、F1など幅広いスポーツをカバーしている。

 2015年の立ち上げ当初、Fuboの月額料金は6.99ドルだった。しかしその後、さまざまなプランが開設されると共に料金が高騰し、現在では300以上のチャンネルを視聴できる最上級プランが約100~109ドル(約1万5000~1万6800円)となっている。

 このように米国では、オンラインでしっかりスポーツ視聴したいと思ったら、月額で1万円以上を払わなければならない時代が来ているのだ。そしてNFL Sunday Ticketのように、よりプレミアムなサービスを求めれば、その何倍もの料金を請求されることになる。

日本でも料金は上昇傾向

 日本でも同じ流れが起きている。その代表的な例が、サッカーや野球など幅広い競技をカバーするDAZNだ。

 DAZNの基本プラン「DAZN STANDARD」に注目してみよう(以後、表示されている料金は税込み)。同社が2016年8月に日本市場へ進出した際、このプランは月額1890円という設定で開始された。

 その後、料金は段階的に上昇していく。

 最初の料金改定は2019年4月で、月額1925円にアップ。約3年後の2022年2月には月額3000円と、約55%の大幅値上げとなった。そして2023年2月には月額3700円、2024年2月には月額4200円と、3年連続での値上げとなった。

 このようにDAZN STANDARDは、10年足らずで2倍以上になっていることになる。この上昇に対し、マネーポストWEBが「スポーツファンからは嘆きの声も漏れている」と報じ、実際に「ハッキリ言って賛同できん」や「DAZNの値上げは痛いが、Jリーグと日本サッカー発展のためと信じて払い続けるしかない」といったファンたちの声を紹介している

 また米国と同様、さまざまな配信プラットフォームやプランが登場したことで、「この試合を見たければあのサービス」「あの試合を見たければこっちのサービス」のように、すべての試合をフォローしたければ複数のサービスと契約するしかない状況が生まれている。

 Jリーグ、プロ野球、欧州サッカー、代表戦などすべてを追いかけようとすると、複数のサブスク+追加パックの組み合わせが必要になり、月額の合計は簡単に1万円前後にまで達することになる。

 なぜこのような料金高騰が起きているのか、それには複数の理由が指摘されている。