「Sora 2」によるフェイク画像の脅威は現実のものとなっている(写真:Tada Images/shutterstock)
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
以前もこの連載で紹介した、Open AIから9月30日に発表された動画生成AI「Sora 2」。ハイクオリティな動画を簡単に生成できるとあって、大きな注目を集めている。
次の動画は、筆者がそのSora 2で生成したフェイク動画だ。まるで渋谷にクマが出没したかのように見えるが、本物ではない。その点に注意し、決して「本物だ」などと言って拡散しないでほしい。
「なにもそんな警告をしなくても、これがフェイクだということは一発で分かる。『Sora』のウォーターマーク(透かし)が入っているし、クマにだって『これはフェイクです(This is fake)』という注意書きがかけられているじゃないか」と思われただろうか。
そう、これは大したフェイクではない。ちゃんとSoraで生成したことを示すウォーターマークが入っているし(ときおり画面上にランダムに現れるSoraのロゴだ)、こんなプラカードを下げたまま、大人しく大都会を歩くクマなどいないだろう。
生成にもほとんど手間をかけていない。最初のバージョンでは何度かカット割りをしてしまい、セリフも英語だったため、それを訂正しただけだ。あとは生成されるのを待っただけ。プロンプトはGoogleのGeminiに考えさせたが、それも含め、トータルで10分もかかっていない。
しかしいま、Sora 2発のフェイク動画が拡散されて騒動になる事件が多発している。フェイク対策のウォーターマークが勝手に取り除かれた動画ではない。ウォーターマークが残っている動画なのに、リアルだと信じ込まれて拡散されているのである。