生成AIが入試で満点を取る時代が到来した(筆者がChatGPTで生成)
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
およそ10年前の2016年11月、あるAIの開発停止が宣言された。名前は「東ロボくん」。これは国立情報学研究所(NII)を中心に進められた人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」で開発された、大学入試問題に挑むAI(より正確に言えば、各入試科目の解答アルゴリズム群の総称)だ。
プロジェクトは2011年に開始されたが、2016年11月14日に開催された「2016成果報告会」で、東大合格を目標に全科目で模試を受検し続ける枠組みを「いったん凍結」する方針が示された。その理由は、点数は伸びても文章の意味理解に限界があり、学習を重ねても東大合格圏に到達する見込みが立たないと判断されたためだった。
ところがいま、衝撃的なニュースが飛び込んできた。今年1月17日~18日に行われた大学入学共通テストを、最新のLLM(大規模言語モデル、AIの頭脳となる技術)に解かせてみたところ、OpenAI社のGPT-5.2 Thinkingが主要15科目のうち9科目で満点を取ったというのである。
これは日本のAIベンチャー企業LifePromptと、日本経済新聞社が共同で調査したもの。詳しい調査方法と結果はLifePromptからの公式発表で確認できるが、簡単に言ってしまうと、GPT-5.2 Thinkingは数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・B・C、化学、化学基礎、物理基礎、地学基礎、生物基礎、情報Ⅰ、公共・政治経済の9科目で満点を獲得。15科目全体で見ても、文系科目で合計970点(1000点満点)、理系科目で合計968点(1000点満点)に達したという。
また同時にテストされた、GoogleのGemini 3.0 ProとAnthropicのClaude Opus 4.5についてもそれぞれ文系科目937点・理系科目914点、文系科目938点・理系科目909点という高得点を記録している。
「東ロボくん」と最新のLLMは異なる技術で開発されたものであり、AIが直線的に進化してきたわけではない。とはいえ、AIはたった10年で「東大には合格できない」と見放されるレベルから「大学共通テストの約3分の2の科目で満点を取る」レベルにまで進化したのである。
AIがあれば大学入試を突破出来てしまう──。そんな時代に、大学側はどのような対応を取ろうとしているのか、その動きを整理してみよう。