中国を「国外敵対勢力」と明言した台湾の頼清徳総統(写真:ロイター/アフロ)

 台湾の頼清徳総統が13日に召集した国家安全保障ハイレベル会議で、中国を国外敵対勢力と定義したことが国内外で大きな反響を呼んでいる。おりしも、中国では14日に台湾に対する武力統一(非平和的手段)条件などを規定した反分裂国家法施行20周年座談会が開催され、台湾統一への意欲を新たにしたタイミングだ。

 今回、頼清徳総統が、突如はっきりと中国を仮想敵国指定したことの狙いと意義を考えてみたい。

 (福島 香織:ジャーナリスト)

 国家安全保障ハイレベル会議で、頼総統は台湾が直面する五大国家安全保障問題と中国の統一戦線の脅威に焦点を当て、軍事裁判制度の復活などを含む17項目の戦略を発表した。

 台湾が直面する五大国家安全保障問題とは以下の通りだ。

●中国の国家(台湾)主権に対する脅威
●中国の台湾国軍に対する浸透・スパイ活動の脅威
●中国による台湾の国家のアイデンティティを混乱させる脅威
●両岸交流を口実に台湾社会に浸透する中国の統一戦線工作の脅威
●中国の「融合発展」を口実に台湾のビジネスマンや若者を引きつける脅威

 さらに、それぞれの脅威について、台湾としての対応方法、戦略を打ち出した。