17項目の対中戦略とは

●中国の国家(台湾)主権に対する脅威

(1)「和平四大支柱アクションプラン」を推進すること
(2)盟友国家と協力して、全世界に中国による台湾国家併合への反対の意思と社会のコンセンサスを宣伝する
和平四大支柱アクションプランとは、頼清徳が2024年4月に打ち出した4つの政策。「台湾の抑止力構築」「経済安全は国家安全である」「全世界の民主国家とのパートナーシップ構築」「両岸関係における原則的リーダーシップがあってこその安定」

●中国の台湾国軍に対する浸透・スパイ活動の脅威

(3)軍事裁判法を改正し、軍事法廷制度を復活させること
(4)それに伴う改革として、軍法官人事条例及び軍事法院(裁判所)、軍事検察署組織法などを制定すること
(5)陸海空軍刑法を増やし「敵対人に対する忠誠表示」を処罰の対象とすること

●中国による台湾の国家のアイデンティティを混乱させる脅威

(6)中国に関する身分証明を申請する国民に関連書類を提供するよう関係当局に要請すること。中国人の台湾入国へのパスポート、身分証、定住証、居留証などに関して必要な審査管理を持続して行う
(7)中国人が台湾に来て定住を申請する場合、中国戸籍とパスポートを放棄させること

●両岸交流を口実に台湾社会に浸透する中国の統一戦の脅威

(8)台湾人が中国旅行に行く場合のリスク意識を高めること
(9)中央・地方政府の各レベルの公務員が中国に交流に行く場合の情報公開制度を実施する
(10)中国人が台湾に交流に訪れることのへのリスク管理を実施する
(11)両岸交流は、中国の政治的干渉とそれに起因する国家安全保障上のリスクを避けねばならないとする
(12)台湾文化産業の競争力を強化するプログラムを開発
(13)映画・芸能関係者の中国進出への指導、管理を強化する
(14)中国のインターネットやアプリ、AIなどのツールを通じた認知戦争によって台湾の情報セキュリティを危険にさらすことを防ぐ
(15)関連する法執行規則を完成させる

●中国の「融合発展」を口実に台湾のビジネスマンや若者を引きつける脅威

(16)両岸経済貿易が関わる人的交流、物流、金銭の流れ、技術について必要な秩序をある調整を行う
(17)青年学生の中国に対する知識教育を深化させる

 こうした17項目の中国の脅威への対応策、戦略を明らかにしたうえで、頼総統は会議後の記者会見でこう語った。

「日増しに厳しくなる脅威に対し、政府としてたゆまぬ努力を続け、国家主権が侵害されないよう全力を挙げ、人民2300万人の自由で民主的なライフスタイルを永続的に確保する。しかし、政府の力だけでは不十分であり、すべての国民が警戒し、共に行動を起こすことがより一層必要である」

「台湾の反浸透法(2020年1月)の定義に照らせば、中国は国外敵対勢力であり、我々は、より積極的な対応をとらねばならない。台湾は決して事態をエスカレートさせる側ではなく、むしろ地域の安全と安定に尽力する勢力である」「今日の国家安全保障ハイレベル会議は、台湾併合を目的とする中国からの統一戦線の浸透に対応するものであり、さまざまな種類の脅威を対象とし、国家の民主的生活が危険にさらされないようにするためのものである。