(画像:Tang Yan Song/Shutterstock)
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[ロンドン発]米科学雑誌「サイエンス」(12月18日付)に「大規模な知的な意味論的ビジョン生成のための全光合成チップ」と題した論文が掲載された。光チップは最新の電子チップに比べ100倍以上も優れているとされ、衝撃はディープシーク・ショックを上回る可能性がある。

速度、エネルギー効率ともエヌビディア製GPUの100倍以上

 中国の上海交通大学、清華大学チームの共同研究だ。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(12月23日付)は画像や動画生成で米半導体大手エヌビディアの最高峰GPUを速度とエネルギー効率の両面で100倍以上も上回る性能を持つ「光演算チップ」を構築したと報じた。

「この技術が中国にとり特に重要なのは米国の輸出規制によりエヌビディアの最先端チップの入手が制限されているからだ。光チップは従来の電子チップが必要とするような超微細な3ナノメートルや5ナノメートルの製造プロセスを必ずしも必要としない」(SCMP紙)

 成熟した既存の製造技術を用いても光の特性を活かすことで米国の最新電子チップを凌駕する性能を引き出せる可能性がある。ただ光チップがすぐにすべてのGPU(画像処理半導体)に取って代わるわけではなく「データ保存(メモリ)」や「精度の維持」面で大きな課題が残る。