エネルギー消費量も激減、驚くほど節電に

 今後、光チップを大規模化し、既存の電子システムと円滑に連携できるハイブリッドなアーキテクチャーを開発するという。スマホやパソコン、AI(人工知能)はたくさん使うと熱くなる。チップの進化で回路が細くなりすぎたのが原因で、これ以上速くするのは至難の業だ。

 上海交通大学と清華大学のチームは電子よりずっと速く、熱をほとんど出さない光を使うチップを開発した。光チップは絵や動画を生成するAIに適している。AIがきれいな絵を描いたり動画を作ったりするには巨大な建物の中に並んだ何万台もの高性能なコンピューターが必要だ。

 最新の巨大AIデータセンター1カ所で消費する電力は数十万世帯が暮らす街全体の電力に匹敵する。この光チップを使うと処理速度は100倍以上、1分かかっていた作業がほんの一瞬で終わる。電気代も100分の1以下となり、大きな節電になる。

 膨大な電力が必要だったAIが手のひらの上で巨大コンピューター並みに、しかも光の速さで動かせる時代は近いのかもしれない。世界中がエヌビディアの高額な高性能チップを奪い合っているが、光チップが実用化されればAIを動かすコストが劇的に下がる可能性がある。