中国不動産「万科企業」の建設現場(写真:CFoto/アフロ)
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 (福島 香織:ジャーナリスト)

 2026年の中国経済の見通しを考えてみたい。

 昨年の中国経済において顕著な問題は、国有企業の経営危機、倒産が増えたことだろう。その象徴として、最も優秀な国家チーム、不動産業界の優等生といわれた万科企業のデフォルト危機問題が表面化した。

万科のデフォルト危機

 万科は国有企業・深圳市地鉄集団(深圳メトロ)を筆頭株主とするいわゆる混合企業。5年前の恒大など民営不動産企業のデフォルトラッシュから始まる不動産バブル崩壊後の業界再編の旗手として期待を寄せられていた。

 だが万科は2024年度の通期決算で450億元の巨額赤字を計上し、2025年には幹部を総入れ替えし、新会長に深圳市地鉄集団の辛傑会長が就任し、国有資産管理当局から派遣されたメンバーが実際の経営権を握る事実上の国有企業となった。

 それでも経営立て直しができず、10月に辛傑は「個人的理由」で会長を引退。今まで万科に、2年にわたりほぼ無条件で大規模融資を行ってきた深圳メトロが、2025年11月2日、新規の220億元の融資枠組み契約締結に際し、融資上限を設け担保要求を発表したことで、一気に万科デフォルト機運が高まったのだ。

 内部筋によれば、中央政府は深圳市に対して、「万科の債務処理は市場の動向に従って行うように」という指示を出したといい、これは、不動産市場の従来のやりかたでの救済を中国政府が断念した、というメッセージとなった。

 万科は11月26日に、12月15日に償還期限を迎える20億元分の一部延期を債権者に求め、続いて、37億元分の社債の償還期限延期も要請。別の債権の早期償還を可能にするコールオプションも放棄。とりあえず12月26日までに社債の償還期限を30日延期することで、債権者と合意はできたが、デフォルト危機から脱したとは到底言い難い状況が続いている。

 万科の未償還債務は500億ドル以上、うち海外の投資家らが保有する部分だけでも70億ドルを超えている。ブルームバーグによれば、中国監督管理当局は万科を救済する意向はなく、今後発生する可能性のある波及効果を抑制するための対策策定を開始。これは恒大事件どころではない、中国史上最大規模の企業再編に発展する可能性があるとみられている。