トランプ米大統領(写真:AP/アフロ)
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2025年1月に就任した米国のトランプ大統領は、自国の利益を最優先する「アメリカ第一主義」を掲げて米国の内政や国際政治・経済に強い影響力を発揮しています。この勢いは2026年も続くのでしょうか。米国内の政治状況をのぞくと、トランプ政権の基盤には揺らぎも見えます。トランプ氏を軸とした2026年の行方をやさしく解説します。

西村卓也:フリーランス記者、フロントラインプレス

2026年11月3日に中間選挙

  トランプ政権にとって2026年の最大課題は、11月3日投票の「中間選挙」です。連邦議会選や知事選の結果は大統領の政策執行にも影響するだけに、トランプ氏は与党共和党の勝利に向けて全力を注いでいます。

 連邦議会上院の定数は全部で100議席です。上院の力は強大。政府高官や最高裁判事、大使など大統領が指名する人事を承認する権限、大統領が調印した条約を批准する権限などを持っています。

 中間選挙で争われる上院の議席は、任期満了による33議席、および任期途中の辞任に伴う2議席の計35議席です。政党別では、共和党が現有53議席中22議席、民主党は47議席中13議席が改選対象。焦点は与野党の勢力が逆転するかどうか。共和党が議席を有するメーン、ノースカロライナの両州、民主党が押さえているジョージア、ミシガンなどの州は接戦になると見られており、勢力逆転の行方を大きく左右しそうです。

図表:フロントランプレス作成

 下院はどうでしょうか。

 下院は全部で435議席あり、2年ごとに全議席が改選されます。現在は220議席の共和党に対し、民主党は213議席(欠員2)で勢力はほぼ拮抗しています。下院は大統領の弾劾訴追を行う権限を持っており、2019年には1期目のトランプ氏が実際に訴追されました。訴追を受けて弾劾裁判を行うのは上院で、この時は罷免には至りませんでしたが、下院の権威は小さくありません。中間選挙で民主党が多数を握るかどうかは、大きな焦点です。

 一方、州知事選挙も見逃せません。

 全米50州のうち、共和党の知事は27州、民主党の知事は23州です。2026年の中間選挙で改選となるのは36州で、共和党と民主党が18州ずつ。トランプ氏は不法移民の送還や、主要都市の警備強化など州知事の協力が欠かせない政策を推進していますが、果たして知事の勢力図はどう塗り替わるでしょうか。