揺れる移民対策、「州兵派遣」に違法判断も

 トランプ政権が打ち上げた不法移民対策は、どうなっているでしょうか。中南米諸国の協力も得ながら不法滞在者らの送還を進めていますが、「年間で100万人を強制送還する」としていた方針は、順調に進んでいるとは言えません。

 米国土安全保障省は2025年12月、トランプ大統領の就任以来60万5000人以上が強制送還され、約190万人が自発的に出国し、合わせて250万人が米国を去ったと発表しました。しかし、これは恣意的な数字ではないかと疑問視する向きもあります。さらに、対策の前線では、強引な拘束や長期収容、肉親の強制分離など人権侵害が頻発。労働力確保にもマイナスの影響が出ると懸念されています。

 米国ではこの間、移民規制に反対する大規模な街頭行動が何度も起き、警官隊との衝突も繰り返されました。一方のトランプ政権は、ロサンゼルスなど民主党優勢の都市では「治安が崩壊している」として、それらの都市に州兵を配備する大統領令を出し、対抗。その姿勢に当の各州がさらに反発して、州兵派遣は違法だと訴える事態となっています。

 そうしたなか、2025年12月には連邦最高裁がイリノイ州シカゴへの州兵派遣を認めない判断を下し、原告のイリノイ州を勝訴させました。また、それに先立つ11月には首都ワシントンの警備にあたっていた州兵2人がアフガニスタン国籍の男に銃撃され、1人が死亡する事件が発生。米国民に衝撃を与えました。移民に対する強硬姿勢は、各所で壁に突き当たっているのです。