マクロン大統領のレームダック化もEUの不安定化の一因に(写真:AP/アフロ)
(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
2026年のヨーロッパは“フランスの落日”に直面することになりそうだ。
すでにフランスは2024年以来の政治危機の渦中にあるが、2026年は2027年5月の大統領選を見据えて、フランス国内で政治的な駆け引きが強まる1年になる。欧州連合(EU)の盟主たるフランスの混乱は、不安定なEUの政治と経済の象徴となるだろう。
ここで、フランスの政治危機の展開を簡単に振り返りたい。
2024年6月、エマニュエル・マクロン大統領が国民議会を電撃的に解散し、政争を仕掛けた。直前に行われた欧州議会選で、自らが率いる中道勢力が敗北を喫したことが議会を解散した直接のきっかけだが、結果的に右派勢力と左派勢力の台頭を招き、自身の求心力が急低下した。
それ以降、フランスでは短命政権が相次ぐ異常事態に陥っている。大統領はEUから勧告を受けたこともあり、財政再建を進めるための緊縮予算の成立に固執するが、右派勢力と左派勢力は緊縮財政に抗議して予算の成立を妨害する。こうした構図の下、首相が相次いで辞任を余儀なくされるという異常事態が定着するに至っている。
この間、主要格付会社はフランス国債の評価を引き下げている。財政再建の進捗が見通せないことが理由だが、一方でスペイン国債やイタリア国債の評価を引き上げており、スペイン国債やイタリア国債の利回りはフランス国債よりも低く推移するようになった(図表)。盟主フランスの面目は、まさに丸つぶれである。
各国の長期金利 (出所)各国中銀
スペインの政治は必ずしも安定していないが、経済は好調を維持しており、財政も悪化を免れている。一方のイタリアは、経済は好調とは言いがたいが、政治は安定している。両国とも、財政の持続可能性に鑑みたとき、フランスよりも優れていると判断されているから金利は低下しているのだ。こうした構図が2026年も続くことになるだろう。