ドイツの景気浮揚も限定的
フランスが落日を迎えるとして、経済の停滞が長期化しているドイツは日の出を迎えることができるだろうか。フリードリヒ・メルツ首相のイニシアチブの下、確かにドイツは歳出の拡大に努めようとしている。しかし、一方でドイツは歳入の拡大にも努めようとしており、結局は“大きな政府”路線を目指してしまっている。
スタグフレーション(景気停滞と物価高進の併存)の時代には“大きな政府”ではなく“小さな政府”を目指す必要があることは歴史の教訓である。ドイツだけではないが、それを活かしきれないのが今の政治である。求められるのは需要の刺激ではなく、大規模な規制緩和なのだが、ドイツは真逆の路線を歩んでいる。
インフラと防衛産業に対する期待も行き過ぎており、トランプ関税の悪影響を緩和するのが関の山だろう。そう整理すると、ドイツの景気浮揚も限定的と言わざるを得ない。フランスの落日に合わせて、ドイツの夜は明けそうもない。そうした中、EU景気はサービス輸出が堅調なスペインや、内需が堅調な中東欧頼みの展開となるだろう。
※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です
【土田陽介(つちだ・ようすけ)】
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)調査部主任研究員。欧州やその周辺の諸国の政治・経済・金融分析を専門とする。2005年一橋大経卒、06年同大学経済学研究科修了の後、(株)浜銀総合研究所を経て現在に至る。著書に『ドル化とは何か』(ちくま新書)、『基軸通貨: ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)がある。