国有企業の「集団戦死」、金融危機への波及リスク
ネットで人気の在外華人ユーチューバー、文昭は新華社が報じた「不良資産研究報告」を引用しながら、「2025年は中国建築産業がどん底まで落ちた年」と指摘し、民営企業の荒廃が国有企業の「集団戦死」を引き起こした、と指摘している。
不良資産研究報告によれば、2025年の中国建設業界の従業員は23%減少する一方で、技術専門職が500万人不足した状態だという。2022年上半期の建設業界従業員は4174万人であったから、1000万人以上が失業したといえる。おそらくは、企業が技術職に見合うだけの十分な賃金を払えなくなり、大規模リストラをしたか、あるいは倒産して大量解雇に至ったのだろう。
このことは、単なる失業者増や新規の建築が激減して経済が悪化するというだけでなく、今後、建築関連の技術職が不足し、またそうした技術職を育成できる企業が激減することで、既存のマンションやビルなどの建築物に対するメンテナンスや補修に支障が出る可能性もある。つまり、高層建築や大型集合住宅の安全性が、中国の社会問題として浮上するかもしれない。
このリポートによれば、建築業界のトップ企業の利益率はわずか2%で、新築住宅着工面積は前年比10%減、不動産投資も同程度減少しているという。建築業界のトップ企業は、省級・市級の国有企業が中心であり、国有建築企業の厳しい状況がうかがえる。
さらに国有企業の苦境は、金融リスクに直結する。実際、都市商業銀行や農業商業銀行など地方の中小銀行が年々減少し、その減少スピードが加速している。2024年末には前年末から195行減り、4295行になったが、2025年にはそれからさらに225行減少している。このペースでいけば、2025年には400~500行の中小銀行が消えると予測される。
中国はもちろん国有大銀行によるリスク吸収と情報コントロール能力が高いため、表立った金融リスクとして認識されていない。それでも、地方の中小銀行がこれだけ倒れている状況は十分に警戒されるべきだろう。
2025年12月10、11日に開催された中央経済工作会議では、不動産市場について「都市ごとに施策を講じて新規供給の抑制、在庫削減、供給の最適化を図り、既存分譲住宅の買収を奨励し、特に保障性住宅に重点的に活用せよ。住宅積立金制度の改革を深化させ、良質な住宅の建設を秩序立てて推進せよ」という指示を出した。これは事実上の不動産市場の縮小、あるいは不動産業の脱市場化の方向性が打ち出されたものと見ていいだろう。