「40代から大学教授」というキャリアは魅力的なのか(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)
「これからどう仕事をしていこう」と悩む40代は多いのではないか。IBMやゼネラル・エレクトリック(GE)などでシステムエンジニアやマーケターとして活躍し、現在は大学教授に転身した平尾清氏はこのほど、『ビジネス経験を活かしきる『40代から大学教授』という最高の働き方』を上梓した。40代から大学教授というキャリアは、なぜ魅力的なのだろうか。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
大学は「民間出身者」を求めている
──平尾さんは現在、岩手大学や青山学院大学など、複数の大学で教壇に立っています。キャリアに迷う40代のビジネスパーソンに、大学教授という選択を勧める理由はなんでしょう。
平尾清氏(以下、敬称略):40代の多くの社会人がその先のキャリアを考えたとき、「大学教授」という魅力的な選択肢が見えていないと考えたからです。
現在、大学側はビジネスパーソンの皆さんが思う以上に、民間企業で長年勤務してきた「実務家」の40代を求めています。
国立・私立大ともに時代の変化に対応するために新たな学部を次々と創設し、これまで大学にいなかったタイプの教員を採用していますし、産官学連携を進めるモチベーションも高い。色々な地方創生のプロジェクトも進められています。
日本の大学は総じて、民間企業と省庁、大学を巻き込んで人材を育成できる実務経験者を必要としているし、高く評価する傾向にあるのです。
また、文科省も民間出身者の大学教員への転身を後押ししようと、各種サポートプログラムを実施しています。アカデミアという閉じた空間をより広かれた「知の拠点」にしよう、そのために実務経験者を採用しようという潮流は、いわば国家戦略の1つとして考えられるわけです。
私は、OECDが提唱しているEducation 2030のイニシアティブにも参加しているのですが、世界中の教育者とのカンファレンスでも、実務家教員の重要性が強調されています。日本だけの現象ではなく、時代が求めている大きなムーブメントでもあると思います。
平尾 清(ひらお・きよし) 岩手大学特任教授、青山学院大学非常勤講師、酒田市政策参与 大学卒業後、IBMでSEとして徹夜続きの現場を経験し、GEではグローバルなマーケティング変革を担当。リーマンショックの影響を受け失業を経験したのち、43歳で国立大学教授へと転身。以来、コロンビア・ビジネススクールから国立・私立・芸術系・福祉系まで17以上の大学で講義を行い、「OECD Education2030」を取り入れた教育を実践。現在は、鶴岡信用金庫「若手経営者塾」運営、アントレプレナー養成、人事・経営コンサルティングに携わり、エグゼクティブコーチ/キャリアコンサルタントとして企業や経営者を支援。他拠点居住をしながら、教育・政策・ビジネスを横断する活動で「理論と実務をつなぐ橋渡し役」として信頼を集めている。これまで、多くのビジネスパーソンの大学教員への転身を実現に導いてきた。
大学教授への転身は明らかに追い風なのに、40代のビジネスパーソンは「自分のスキルの賞味期限を考えたとき、一番高く売れる転職先はどこかな」「今の会社で、ある程度のポジションまで出世しよう」という、一部の人材紹介会社がつくったキャリアの選択肢しか見えていないように思います。
この状況はとてももったいない。大学教授ほど魅力的な仕事はないのに、と考えて本を書きました。
──大学教授の魅力は具体的にどんなところにあるのでしょう。