大学進学にはカネがかかかる(写真:Jack_the_sparow/Shutterstock.com)
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本格的な大学入試シーズンがやってきました。この時期、受験生や保護者たちを悩ませるのが「私立大学の入学金二重払い」問題です。大学入試では「本命」「滑り止め」など複数校を受験することが当たり前ですが、入学金の納付期限などの関係から実際には入学しないことになる大学にも数十万円の入学金を納め、かつ、最終的には返却されない実態が大きな問題とされてきました。私大入学金の二重払い問題は、現在どうなっているのでしょうか。やさしく解説します。

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私立大学「入学金二重払い」、最高裁の判断は

 私立大学の入試に合格すると、合格者は定められた期限内に「入学金」の納付を求められます。その金額はどの程度でしょうか。

 全国の私立大学600校を対象とした文部科学省の調査によると、2023年度の入学金は全学部の平均で24万806円でした(前回調査の2021年度比2.1%減)。文系は22万3867円、理系は23万4756円で、ほぼ同じ。医学・歯学系は100万円を超え、107万7425円に達しています。

 しかも、合格者は実際の入学までに、入学金だけでなく、初年度の授業料や施設整備費なども納付する必要があります。それらを総計した初年度納付金の平均は136万5281円。学部系統別では、文系119万4841円、理系153万451円、医学・歯学系482万1704円に達しています。

 多くの大学では、初年度納付金の期限は3月上旬に設定されており、完納することで入学手続きは完了します。ところが、「本命校」の合格発表のタイミングが、併願校に納付金を納めた後というケースは頻繁に発生しています。

 最終的に別の大学への進学を決め、納付金を納めた大学への入学を辞退する場合、多くのケースでは初年度授業料と施設整備費は返却されますが、入学金は戻ってきません。これが「入学金の二重払い」問題です。

 実際には入学しないのに、なぜ、入学金を返してもらえないのでしょうか。これに関連し、最高裁は2006年11月の判決で、入学金の法的な位置付けを次のように示しています。「入学金を返してもらえないのは違法」という訴えに対する判断でした。

「入学金は、その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り、学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものであり、当該大学が合格した者を学生として受け入れるための事務手続等に要する費用にも充てられることが予定されているものというべきである。そして、在学契約等を締結するに当たってそのような入学金の納付を義務付けていることが公序良俗に反するということはできない」

 入学金は、その大学へ入るための“権利金”であり、入学の権利を一方的に放棄された大学側は返却の義務を負わない――。最高裁判決はそう告げているわけです。しかし、大学への入学時には大きな金額が必要になるのですから、当事者や保護者が実際には入学しなかった大学の入学金を返却してほしいと思うのは当然でしょう。