米国でも「入学金なし」が一般的、韓国も廃止
入学金を早めに納付させる仕組みは、大学側にとって新年度の入学者数を早期に確定させ、新学期からの大学運営を円滑に進めるという目的があります。合格発表から入学式まで数カ月程度。その短い期間に入学予定者が大きく増減するようなことがあれば、教職員の適正配置、実験装置・実習機会の確保、教材の整備といった学生受け入れの重要事項に支障が出かねないのです。
それでも、「実際に入学しないのに、入学金を戻さないのはおかしい」という声は途切れないでしょう。文科省の推計では、2023年度の大学進学者のうち、23.5%は実際には入学しなかった大学に入学金を納付したとみられています。
世界に目を転じると、高等教育に対する公的サポートの手厚い欧州の国々では、授業料が無料か極めて低い国が多く、入学金を求める大学はほとんどありません。激しい受験戦争で知られる韓国では2023年までに入学金制度を廃止しました。米国でも入学金という考え方はほとんどなく、毎年・毎学期の授業料でカバーされています。
教育は国家の支柱であると言われます。入学金について「大学は返還義務を負う理由はない」(2006年の最高裁判決)としても、二重払い問題を放置すれば、受験生や各家庭の納得は得られないでしょう。
フロントラインプレス
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