(写真:graphica/イメージマート)
学校で何をどう学ぶかを定める「学習指導要領」の改訂を、文部科学省が進めています。学習指導要領はおおむね10年に1度改訂され、次の改訂版が教育現場で使用されるのは2030年度から。科目ごとの詳細な議論はこれから本格化しますが、「情報活用能力の抜本的な向上」を軸とした科目再編成やデジタル教科書の正式導入といった方向性は見えてきました。“教育の大改革”が起きると言われる次期の学習指導要領をやさしく解説します。
「国家百年の計」を支える学習指導要領
各報道機関は2025年9月、「学習指導要領」に関するニュースを一斉に報じました。次期学習指導要領の改訂に向けた議論がいよいよ本格化するからです。例えば、読売新聞では以下のようなニュースが続きました。
『デジタル正式教科書 了承 中教審部会 30年度にも開始』(9月6日)
『教科の授業時間 学校が柔軟に 多様な児童・生徒に対応』(同12日)
『情報モラル教育 拡充へ 中教審 次期指導要領』(同20日)
『次期指導要領 教科別議論開始 「外国語」AI活用など』(同25日)
他の報道機関も熱心で、『教科ごとのコマ数、柔軟化 次の指導要領、学校に裁量 中教審部会』(朝日新聞 9月6日)、『デジタル教科書、QRコード先も検定対象に 中教審が素案』(日本経済新聞、9月5日)、『特異な才能もつ生徒「ギフテッド」教育へ特例 次期学習指導要領の論点整理素案、個別カリキュラム編成』(同、9月6日)といった報道は途切れませんでした。
「教育は国家百年の計」と言われます。子育て中の家庭や教育産業に関わる人だけではなく、地域社会から産業界まで多くの人が関心を持っています。学習指導要領の改訂に関するニュース量の多さは、その反映とも言えるでしょう。
では、そもそも学習指導要領とは何でしょうか。
日本政府が全国の学校で共通して行う教育内容とその最低基準を示したもので、国家としての教育の基準。それが学習指導要領です。
学校教育法の「小学校の教育課程に関する事項は(略)文部科学大臣が定める」(第33条)などの規定に従って文部科学大臣が告示し、全国の幼稚園・小学校・中学校・高校・特別支援学校などは原則として全て従わなければなりません。内容の中心は、各教科・科目の目標(何を身につけさせるか)や教育内容(何を教えるか)が示されているほか、標準的な授業時間数、道徳教育や総合的な学習の扱い、学習評価の考え方などです。
学習指導要領は時代の変化に伴い、おおむね10年ごとに見直されます。今回の改訂議論は2024年に始まり、2026年中に最終決定する予定。教育現場で使用されるのは、小学校が2030年度からで、中学校は2031年度、高校は2032年度がスタートです。