*イメージ写真(写真:chaponta/Shutterstock)
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 日本の医療体制が今、岐路に立たされている。長年の懸案事項である地域間の医師の偏在に加え、2027年度から医学部の定員削減が始まることが決定したからだ。

 東京などの都市部と地方部との間で医師の人口当たり割合には既に大きな格差が存在しており、この2つの課題が合わさることで、特に地方部における医療崩壊のリスクは高まりつつある。

 医学部への定員削減の背景には、将来的な医師の供給過剰を防ぐという政策的意図がある。その一方で高齢化が進み医療サービスの欠如が依然として高い地域においては、この決定が極めて大きな負の作用をもたらす危険性がある。

 こうした状況の下、地域ごとの需給バランスを壊す可能性を考えると、定数削減という措置が、地方の医療基盤をさらに弱体化させる可能性は極めて高い。これは、単なる医療供給の問題ではなく、日本の社会保障制度全体に影響する日本全体の問題となる可能性がある。

地方医療崩壊を加速させる構造的要因

 厄介なのは、医師の偏在問題は、単に医師の絶対数不足ではなく、都市部と地方部の間での、キャリアパス、生活環境といった複合的な要因によって引き起こされることだ。

 依然として若手医師が都市部の特定大学病院に集中する傾向がある一方、地方や小規模病院における医師の確保は年々困難になっている。こうした課題に加え財政面での困難によって、病院の閉鎖に至る場合もある。

 こうした状況を、「医学部受験」という切り口から見ると、また別の景色が見えてくる。

 現在、医学部への入学はすでに狭き門になっている。令和7年医学部医学科の入試では、一般選抜、総合選抜、特別選抜等で志願者数が14万人を超えており、実質競争倍率8.75倍と11.4%の受験者しか合格していない状況だ(文部科学省 医学部教育 調べ)。

 この状況下で定員が削減されることは、医学部受験における競争をさらに激化させることになるだろう。その結果として、地域医療への使命感よりも、医学部合格のみを目的とする受験指導に偏っていくことが予想される。