「会社」を主語から消そう
平尾:40代、50代はどうしてもキャリアの「賞味期限」を考えてしまいがちだと思います。「あと何年自分のスキルは会社に有益と評価されるのかな」「今の自分のポジションは会社にとってメリットがあるのだろうか」などと。
これらの不安は、主語が「会社」という点で共通しています。よく考えて欲しいのは自分のスキルや可能性、経験を発揮できる場所は何も「会社」に限らない、という当たり前の事実です。
大学教授はその選択肢のひとつですし、他にもいくらでも選択肢はあるでしょう。40代・50代で今後のキャリアに迷ったときは、まず「自分は何を目指しているのか」を明確にするのがおすすめです。ポジショニングより、自分の役割を大切にする視点で考えてみる時期なのだと思います。
その上で、自分の強みや弱み、これまでの経験、知識、人脈などを整理し、仮に大学教授に転身するとしたら大学の中で、どういった役割を担えるのか、どんな成果を生み出せるのかを具体的に考えてみてはいかがでしょうか。
──学生の中には、実社会で揉まれてきた大人の経験談を魅力的に感じるタイプもいると思います。
平尾:そうですね。学生も意外に親や家族、バイト先、教授など関係性が明確な大人としか交流していない傾向にあります。やっぱり自分の世界を広げる機会が少なすぎると思います。
ただ、学生は社会に対する好奇心や学習意欲が旺盛にあります。民間出身の色々な経験をしてきた教授に興味津々の学生も多いのです。
私はこれからの時代、アカデミアとビジネスの世界の交流をもっと盛んにしていくべきだと思います。私が過去大学の仕事で携わったITエンジニアの40代の方に、一度ゲストとして授業の1コマをお願いしたところ、「自分自身を見つめなおす良い機会になった」というコメントをもらいました。「自分の役割を再認識でき、生き返った感じがする」とも語っていました。
目をキラキラさせた学生たちと、講義を通じて自分の専門的な知識や経験を伝え、共に学び合う機会というのは、他に無い喜びや充実感を得られるものなのです。
ビジネスパーソンは会社の中に、学生は大学の中に閉じ込められている社会はとてももったいない。日本の閉塞感の原因も、ここにあるのではと感じています。双方の人材交流を活性化させることで、大人も学生も救われると確信していますし、日本も再浮上するきっかけになると考えています。
だから、多くのビジネスパーソンに、私は呼びかけたいです。「共に、協創という教育のテーマにチャレンジしましょう!」と。


