JTCでは味わえない「仕事の面白さ」
平尾:自分の経験や能力をフルに活用できるところでしょう。非効率な働き方や理不尽な組織の理屈などで揶揄されがちなJTC系(JTC=Japanese Traditional Company)の企業では、仕事時間の5割以上を、何もわかっていない上司や組織に説明することで終わってしまうことも珍しくないと思います。
一方の大学教授は自己責任に基づいて自らの仕事を管理していくことが求められています。スケジュールを決めるのは基本的に自分。全15回の授業のシラバスの作成と講義のデリバリーはスペシャリストとして尊重されます。なので内容は独自性が担保され、専門外の他者の介入を受けず、自らの判断で学生にとって本当に役立つ授業を考えられる。
組織人では考えられないほどの仕事の楽しさを、大学教授として実感することができます。
大学教授は自律的な仕事(写真:elutas/イメージマート)
──「大学教授になってみたい」と考える読者の参考に、平尾さんの1週間の具体的なスケジュールを紹介いただけませんか。
平尾:現在、私は岩手大学の特任教授として、そして青山学院大学の非常勤講師として教鞭を執っています。
1週間のうち、90分から100分の授業を4~5コマ請け負っています。例えば、岩手大学では「イーハトーヴ協創コース」というカリキュラムをつくりました。これはOECD Education2030をベースにデザインしたものです。その中では、実社会で必要とされているテーマを中心に「プロジェクト・マネジメント」、「DX」、「AI」や「DE&I」(ダイバーシティ エクイティ&インクルージョン)などのテーマも取り入れています。
これらのテーマは、実際の現場経験者が教えた方が、専門性にプラスして実践的な内容になります。そこで、「プロジェクト・マネジメント」の授業では、横浜市役所で「実物大ガンダム」のプロジェクトを率いたプロジェクトリーダーを招き、「DE&I」の授業ではEY(アーンスト・アンド・ヤング)でDE&Iの責任者を大学に呼び、教壇に立ってもらいました。
授業を行う、というよりは「教育コンテンツをデザインする」仕事をメインにしているイメージですね。民間企業出身者ほど、柔軟で最新のカリキュラムづくりが求められていると思います。
──大学教授になる、と聞くと、ハードルが高そうに感じてしまう読者も多いと思います。