実現するか、泡と消えるか、左右する総選挙

 国民民主党のマニフェストを見てみると、確かに選挙戦の当初から、この社会保険料還付制度は政策の「一丁目一番地」として掲げられていたことがわかる。

 それを住民税控除の拡大とセットで「国民民主党版・給付付き税額控除」として改めて主張することにしたのだという。

 足立氏は消費税減税を「二丁目五番地」とし、あくまでこの社会保険料と税の改革が優先順位の筆頭にあることを示唆する。

 もちろん、この制度にも課題がないわけではない。社会保険料の還付という形をとる以上、あくまで「社会保険に加入して働いている人」が主たる対象となり、何らかの事情で働けない人や、社会保険の適用外にある人々へのセーフティネットとしては機能しにくい側面があるように思われる。

 また、社会保険料という「物差し」を使うことの精度についても、完璧とは言えない部分があるだろう(例えば標準報酬月額の上限がある)。

 しかし、利用可能なデータを活用して、今すぐにでも動かせるシステムを作るというプラグマティズムは注目に値する。

 ゼロベースで理想的な給付付き税額控除を設計しようとすれば、マイナンバーによる完全な資産把握や、それに伴う法整備、国民的合意形成など、気の遠くなるようなプロセスが必要となる。それに対し、この提案は「あるものを使う」ことで、現実解を提示しているように見える。

 財源論に関しても、制度の導入当初は小規模に始め、効果を検証しながら徐々に拡大していくというアプローチも可能であるように思われることから、財政規律との両立を図る余地も残されている。

 国民民主党が主張する「社会保険料還付付き住民税控除」は、単なる減税やバラマキではなく、日本の行政システムが抱える資産把握の困難さという現実を認めたうえで、それを逆手にとった知的な政策イノベーションとなる可能性を秘めているのではないか。

 この「国民民主党版・給付付き税額控除」であるところの「社会保険料還付付き住民税控除」というこのユニークかつ現実的な提案が、長年停滞していた日本の税・社会保障一体改革の議論を前進させる起爆剤となるのか、それとも総選挙の渦中に泡と消えてしまうのか、注視したい。