宇野昌磨のサインが入ったスケート靴と「YS BLADES」
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(取材・文:松原 孝臣 撮影:積 紫乃)

シーズン中は競技で、オフはアイスショーで賑わうフィギュアスケート。特に日本人の心を掴むスポーツは、華やかさの裏で、実に多くのプロフェッショナルたちに支えられています。選手のサポートはもちろん、衣装デザイン、スケート靴やエッジの管理、舞台照明やMCなど、スポーツライターの松原孝臣さんが彼らの技術と熱意を伝える連載。今回はスケート界に革命を起こしたブレードを製造する「山一ハガネ」を紹介します。

*「フィギュアスケートを支える人々」(2024年8月30日公開までの一部と今回の記事)と書き下ろしを含む電子書籍『日本のフィギュアスケート史 オリンピックを中心に辿る100年』(松原孝臣著/日本ビジネスプレス刊)が発売中です。

●「山一ハガネ」インタビュー前編はこちら

絶対いいものを作って満足してもらおう

「YS BLADES」は、フィギュアスケートの世界ではすでに名の知れた、一定以上の存在を示す製品として定着した感がある。

 ただ、決して広いとは言えない市場にあって、採算は簡単なことではなく、企業である以上、収益は考慮するはずだ。

 スタートから開発を担ってきた山一ハガネの石川貴規は言う。

「ようやく事業として成り立つかな、くらいですね。付加価値というか企業価値、宣伝効果などを含めるとものすごく効果が出ています」

「ただ、うちは材料を持っています、加工もできます、処理もできます、と、全部自社でできる強みがあるのでなんとかやれています」

 同社ならではの強みがあったことに加え、続けてくることができた原動力について触れる。

「卸売事業でずっとやってきて、材料を手がけています。いろいろなところに使われていますけれど、『これは山一ハガネのものだ』という具合には目に見えないですよね。そういう点でやりがいはあります。

 始めるときに社長に言われた言葉も力になっています。『地域や社会への貢献としてやるんだ』『質、コストを落としてたくさん売るよりも絶対いいものを作って満足してもらおう』ということです」

 ただ、企業人として「売らなければいけない」という使命感も抱いている。売れなければ続かないとも考えている。

「我々は売るノウハウがないので、(スケート用品専門店の)小杉スケートさんやアイススペースさんなどに販売代理店になっていただいています。選手がお店の方と話をして、そこからブレードのことを聞いて、使うようになるケースも多いです」