木原は開発段階から、三浦は一度試してから

 北京オリンピックでは、木原龍一も「YS BLADES」を使っていた。

 木原は2018年から使うようになった(当時は「KOZUKA BLADES」)。

「開発にあたって、木原さんに鍛えていただいた部分も大きいですね」

 出会いは2017年のこと。ある日、山一ハガネに電話がかかってきた。かけてきたのは木原だった。

「噂を聞きつけたのだと思いますが、『使わせてください』とお話がありました」

 そのあと、木原は1人で山一ハガネを訪ねてきたという。

「木原さんは体格がいいですし、ペアは女性を持ち上げることもありますから、ブレードへの負荷が大きく、よく曲がってしまって困っていたそうです」

 10万円ほどはするブレードの価格を考えれば、頻繁に変えるのは大きな負担だ。そのとき、2018年春の製品発表の前ではあったが小塚や無良らが使用していたブレードの存在と、その耐久性の評判を耳にして、連絡をとってきたのだという。

 そこから始まった交流は、両者にとってプラスとなった。

「まだ開発途中でしたので、体格のいい木原さんに試していただくことで耐久性をたしかめて、それを開発に反映しました。大変ありがたかったです」

 木原もブレードを気に入り、以来、今日まで使い続けている。何よりもその人柄が石川は印象に残っている。

「最初に自分で電話をして1人で訪ねてきたのも心に残っていますし、その後も毎年必ず、『ありがとうございました』と挨拶にいらっしゃっています。怪我をして試合に出られないときがあったり、スケートリンクでアルバイトをしているときもあり、大変な時期はあったと思います。それでも毎年いらっしゃるのです」

 1人で来ていた挨拶は、やがて二人になった。加わったのは三浦璃来だだ。三浦も2020年7月から「YS BLADES」を使用するようになった。

「三浦さんは一度試し、それから使っていただいています。『(木原の)スピードが速いのでついていけないところがあって、ブレードを変えたらついていけるようになりました』と言っていただきました」

 そして二人して毎年、挨拶に来るのだという。