文=松原孝臣 撮影=積紫乃
自分の弱みや欠点をみつけられたシーズン
フィギュアスケート界でこれからを嘱望される選手がいる。三浦佳生だ。
今春、明治大学に入学、今年6月に19歳の誕生日を迎えた。
三浦は小学生の頃から全国大会で活躍、小学6年生のとき全日本ノービス選手権のAクラス(フィギュアスケートの区分で11歳以上12歳以下の選手が参加)で優勝している。
中学1年生で4回転トウループに成功し、2年生でジュニアグランプリシリーズに出場。3年生のときにはフリーで2種類計3本の4回転ジャンプを成功させるなど早くから将来を嘱望された。
その後も、おおづかみに眺めれば順調に階段を上ってきた。2022-2023シーズンはシニアの大会である四大陸選手権で優勝し、世界ジュニア選手権でも優勝。昨シーズンはグランプリシリーズのフィンランド大会で同シリーズ初優勝を遂げ、2シーズン続けてグランプリファイナルに進出。また世界選手権にも初めて出場し8位の成績を残している。
新たなシーズンの本格的な開幕を前に、飛躍の1年となった2023-2024シーズンをこう振り返る。
「徐々にシニアでの戦い方を学んだり、自分の存在感をみせたり、自分なりには大きなシーズンになりました」
ただ、大きなシーズンとなった理由はそればかりではない。
「自分の弱みだったり欠点をみつけられたよいシーズンだったと思います」
自分で弱みとして捉えた点をこのように説明する。
「自分は世界選手権に初めて出させてもらいました。過去いちばんよい状態で臨んだんですけど、シーズンの中でもよくない方の演技をしてしまったというところです。やっぱり試合の運び方だったり、気持ちのあり方というところに弱さがあったなと思います」
世界選手権に向けて、練習量を通常以上に増やし、しかも調子が上がっていた。それを発揮できなかった。だから悔いを残した。
「いつもと同じ試合の気持ちで臨んではいたんですけど、ただどこかで世界選手権という大きな大会で『やってやりたい』という気持ちがありました。そこで気持ちが前に出過ぎて体がついてきてなかったという印象があります。ほんとうに状態はかなりよくて、あとは試合で練習してきたことを出すだけというところでした。だから技術ではなく、気持ちに問題があったなと思います」