「フィギュアスケートをしていないな」
三浦の特徴と言えば、スピード感あふれる滑りと、試合でも時折のぞかせる気迫だ。それがときにマイナスに働くことがあると言う。
「空回りするのが自分で。昔、ジュニア時代とかは特にコントロールできずに成績も出なかったことが多くて、ようやく最近になってコントロールされてきているかな、という印象があります。だからこそもっともっと安定するような心持ちというか、そういったものをみつけていけたらいいなと思います」
だから今シーズンの課題の1つとして考えている。
「やっぱりグランプリシリーズとか全日本選手権、ああいう試合になって緊張しない人はいないと思うんですよ。少なからず緊張感はみんな持っている。その中でいかに平常心というか、練習通りの気持ちでいけるかどうか。本番だからもっと力を出そうとか考える、本番ということに頼る、アドレナリンなどに頼ってしまうと空回りしてしまうので、練習通りを出そうという気持ちであることが大事になると思っています。特別に何かするわけじゃないですけど、そういう気持ちで頑張りたいです」
昨シーズンを振り返る中で感じたのは、試合においての気持ちの持ち方だけではなかった。
今年6月、「ドリームオンアイス」に出演したとき、昨シーズンについて触れる中でこう語っていた。
「自分の演技を見返して、フィギュアスケートをしていないなと感じました」
その言葉に込めた思いをあらためて説明する。
「昨シーズンを通して、特にフリーは初めてアニメの曲(『進撃の巨人』)を使ったりして、自分の演技を知ってもらうという点ではすごくよいアプローチの仕方だったと思います。ただ一方で、がつがつ行っている感じがして、やっぱりフィギュアスケートというものをもっとしたいなと思いました。やっぱりもっとターン1つや滑り1つでみせるようなスケートをしたい、曲を意識した演技をやって、曲と同化して自分の滑りもできるシーズンにしたいなと思っています」
その課題意識には、フィギュアスケーターとしてスタートを切って早々から抱いていた思いもつながっているかもしれない。(つづく)