選手に広がるきっかけを作った宇野昌磨

 選手の間に広がったもう一つの要因として、宇野昌磨をあげる。

「やはり、北京オリンピックに『YS BLADES』を使用して出場しメダルを獲った。そのインパクトも大きかったと思います」

 宇野は「YS BLADES」が正式に発表されるよりも前、2021年1月から使用を開始している。

 宇野が使っていたのは、「YS BLADES」の「翔」をベースにしたカスタムモデルだという。

「宇野さんからは細かな要望を多くいただき、宇野さん仕様へ作り込みました」

 結果として、他のスケーターが驚く、異質とも言える独特の形に出来上がったことに、宇野の持つ滑りへの感性や技術がうかがえる。

 ちなみに宇野は2021年に使い始めて、最後にブレードを替えてからは「3年以上、同じブレードを使っていました」。

 1、2カ月しかもたないと言われる中にあって、それも「YS BLADES」の耐久性を物語っている。

「YS BLADES」にはアイスダンス用のブレードもある。宇野はアイスショー「Ice Brave」公演にあたり、そのアイスダンス用ブレードに変えたという。

「そのブレードで4回転ジャンプを跳んでしまうことが驚きでした。現役のときに使っていた『YS BLADES』の『翔』とは、製品的には真逆と言っていいくらい違います。そもそもアイスダンス用のブレードは、ジャンプを跳ばないことを前提としています。それでも跳べてしまうのがすごいですね」

 ブレードにとことんこだわり抜いた競技選手時代。用途は異なるブレードであっても、やすやすと、と表現すべきか、ジャンプを跳ぶ現在。どちらも宇野の一面を物語っているようだった。