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 ビジネスでは長らく、感情を持ち込むことは組織の冷静で合理的な運営を妨げるとされてきた。ところが近年、組織を成功に導くリーダーの素質として、EQ(感じる知性)が重視されている。リーダーシップにおけるEQの役割とは何か。『EQリーダーシップ 新装版』(ダニエル・ゴールマン、リチャード・ボヤツィス、アニー・マッキー著/日経BP 日本経済新聞出版)から一部を抜粋。組織に共鳴を起こし、業績向上や成長を実現するリーダー像を明らかにする。

 目の前の変化を力に変える。高いEQを備えたチームを作るために、優れたリーダーが意識すべきこととは?

チームの感情的現実を表出させる

EQリーダーシップ 新装版』(日経BP 日本経済新聞出版)

 EQの高いチームを作りたいならば、リーダーはまずチーム全体の自己認識を高める努力から始めるとよい。これまでにも触れたが、チームの感情的傾向を見守り、底に潜んでいる不協和感をメンバーに認識させてやることが、リーダーの最も大切な役割なのだ。

 感情的現実に正面から向きあえたとき、チームは初めて変革に向けて動き出す。「ここの雰囲気、良くないよね」といった単純な気持ちを認知するだけで、チームは変化への決定的な第一歩を踏み出すことができる。

 リーダーの役割は、集団内で進行していることに耳を傾けて変化の口火を切ることだ。それは単にメンバーの言動を観察するだけでなく、彼らが何を感じているかを理解することだ。チームの非生産的な規範を指摘してやれば、チームは方向を転換できる。

 グループの感情的現実を表出させる方法は、いろいろある。金融サービス会社の副社長の話を紹介しよう。

「わたしはいつも、自分にどう見えるかではなく、チームのメンバーの目にどう見えているか、というところからスタートするようにしています。『この人、どうしちゃったの? なぜ、こんなひどい状態になっているの? 何を恐れ、何を怒っているの?』と自問するわけです。あるいは、『彼女は何を興奮しているのかしら? どうしてあげれば、彼女は安心し満足するのかな?』というふうに」