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 ビジネスでは長らく、感情を持ち込むことは組織の冷静で合理的な運営を妨げるとされてきた。ところが近年、組織を成功に導くリーダーの素質として、EQ(感じる知性)が重視されている。リーダーシップにおけるEQの役割とは何か。『EQリーダーシップ 新装版』(ダニエル・ゴールマン、リチャード・ボヤツィス、アニー・マッキー著/日経BP 日本経済新聞出版)から一部を抜粋。組織に共鳴を起こし、業績向上や成長を実現するリーダー像を明らかにする。

 活力を失った組織を立て直し、メンバーから変革のエネルギーを引き出す、ある有効な手法とは?

組織の現実を発見しよう

EQリーダーシップ 新装版』(日経BP 日本経済新聞出版)

 大企業の多くは、従業員の態度、価値観、信条などを体系的に評価するプロセスを採用している。感情的現実を把握する作業の代用だ。こうしたプロセスは非常に有用だが、問題は、こうした調査では測定の対象となった項目しか評価できない、ということだ。表層の下を流れる微妙な気持ちや複雑な規範は、ほとんど把握できない。こうした盲点が生じるのは、調査担当者が知りたい項目しか評価しないからだ。

 さらに、こうした調査で問題のある文化やリーダシップの一面があきらかになったとしても、それを正面から取り上げるには意識的な努力と勇気が必要になる。その結果、せっかくの情報がそのまま放置されてしまうケースが少なくない。

「広角設問法」と呼ばれるプロセスは、「見ようとしたものしか見えない」調査の欠点を修正する有効な方法として、マサチューセッツ大学のセシリア・マクミリンと本書の共同執筆者アニー・マッキーが開発した方法だ。

 この方法により、組織の感情的現実――人々が何を大切に思っているか、個人やグループや組織が成功するために何が役立つか、何が障害になっているか――があきらかになる。組織に関する真実を発見するプロセスを通して、人々は自分が見たいことだけでなく、実際に起こっていることについて共通の認識を獲得するのだ。