(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)
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「選挙をやりたいんなら、カネを持って来い!」

「お前、カネ持ってないんだろ!」

 現職の県議会議員で、私の選対委員長に私の歓迎会でそう恫喝されてからというもの、その対応も変化していった。

選対委員長から恫喝される候補者

 歓迎会と称するものから10日ほど経って、私は選対委員長で県会議員のFに呼び出された。場所は私の事務所の2階にある元の県会議長で私の後援会長Nの個人事務所だった。そこにNと選対事務局長で県会議員のS、それに秘書役のTが同席していた。

 選対委員長のFの口調は、最初から厳しかった。喧嘩腰だったと言っても過言ではない。

「いつになったら、こっちの新しい住居に引っ越すんですか」

 移住と言ってもそう簡単なものではない。まず物件を探して、生活ができるように準備する必要がある。時間がかかる。幸いにして転居物件は用意できたが、生活をはじめるまでの手続きに時間が必要だった。

 そのことはTにも話していた。元県議で前回の統一地方選挙に立候補せず、次の尾鷲の市長選挙に立候補すると噂されていた(実際に立候補した)彼には、金銭を支払って2カ月の約束で、スケジュール調整から事務所の運営、送迎の運転手まで、いわば秘書役をお願いしていた。そうやって初めての選挙の指南も兼ねていた。

 そのTが車で2人きりの時に、やはり同じことを尋ねてきたから、同じことを説明した。入居には時間がかかると。すると彼は憤るように、こう吐き捨てた。

「そんなの、もうとっくに自民党が盗聴器を仕掛けとるわ!」

 送迎の車を運転中に、突然ハンドルを切ってコンビニの駐車場に入ることがあった。どうしたのか尋ねると、

「コーヒーを買うんですよ」

 と、あっさり答えることもしばしばあった。それでいて他のメンバーの前では愛想良く振る舞い、議員や組合関係者からは慕われている風だった。