あとになって考えてみると、この選挙区の大きな足かせとなったのは、国政選挙に精通した人物がいなかったことだったように思う。
秘書役と指南役を兼ねたTは、これをやったらいかん、ああしたら選挙違反になる、とやたらに小言を繰り返していた。それではどんな活動をしていいのか、不明で行き詰まる。
それでベテラン議員だった中川に尋ねると、それはやっていい、と違う返事がくる。まったく見解が異なる。
選挙戦略を練るため選挙期日を独自にシミュレーション
それから、しばらくしてだった。
「君もやりたいことがあるだろう。こういうことをやりたいと紙に書いて出せ。それを選対に諮ったらいい」
中川が選対会議に加わるようになってからそう言われた。そこで選挙本番までの活動計画案を作成することにした。
「通常の選対というのは、まず、いつ選挙があるのか予測を立てて、そこから逆算してどんな活動をしていくのか、計画を練るものだ」
私も独自に様々な政界関係者から話を聞いた。あるベテラン秘書が教えてくれたその言葉が脳裏に響いていた。そもそも、こちらの選対はいつ選挙があるのかの見立てもない。
私は次の総選挙がいつやってくるのか予測するところからはじめた。旧知の政治記者にも話を聞いた。そこで以下のように日程候補を挙げた。当時はまだ自民党の岸田文雄政権下で、策定は2024年1月の時点のものだ。
①2024年7月
6月に所得減税など物価高対策が実施され、通常国会が会期末を迎える。内閣支持率の向上を前提に解散戦略に打って出る。
②2024年10月
9月の自民党総裁選を前に岸田降ろしがはじまり不出馬。もしくは選挙で敗北。新総裁が選出され、「新しい顔」を武器に解散。しかし、その度量が新総裁にあるかないか?
③2025年7月
同年10月の衆議院議員の任期満了を前に、7月に実施される参議院選挙で同日選挙。
④2025年10月
衆議院議員の任期満了を待って解散。
その中で私は②を想定することにした。理由は以下のように示した。