制度を「政治家が崩していた」ことの重大さ
この問題が表面化した契機は、2025年12月10日の大阪府議会における自民党・占部走馬府議の追及だ。産経新聞は2025年末、「維新の『国保逃れ』疑惑に火をつけたのは大阪自民」と報じた。維新は党内調査を開始せざるをえなくなった。
◎維新の「国保逃れ」疑惑に火をつけたのは大阪自民 府議定数79分の6議席から見せる逆襲 大阪自民の針路(下)(産経新聞)
維新は「身を切る改革」を党の理念として掲げ、2025年の連立合意でも現役世代の社会保険料引き下げを主張してきた。ところが自らが脱法的スキームで保険料負担を逃れていたかもしれないという皮肉な状況である。
この問題の本質は、リスクを「みんなで支え合う」という社会保障制度の基本原則を、制度設計の担い手である政治家自身が崩していたかもしれないという点にある。国保の保険料未納率は直近で約11%に上り、制度の公平性維持が課題となっている。
◎厚生労働省「令和5年度国民健康保険(市町村国保)の財政状況について」
そうした状況下で、議員のような高所得者が意図的に保険料負担を回避する行為は、制度への信頼を根底から損なうというほかないだろう。
さらに深刻なのは、社会保険加入には通常、厚生年金加入がセットになるはずだが、維新の調査では厚生年金加入の有無まで確認されていない点である。今は国保逃れに関心が向いているが、問題の悪質性はこちらのほうが高いのではないか。
厚生年金に加入することで足元の保険料を安く抑えるのみならず、サラリーパーソンが納付してきた厚生年金にフリーライドすることになるからだ。さらに配偶者も加入しているとすれば、3号被保険者の問題なども生じることになるだろう(もちろん健康保険においてもフリーライド問題が生じうる)。
国保負担の重さは、個人事業主やフリーランスで働く人から長年指摘されてきたところである。その一方で、日本の国民皆年金、皆保険の発展の経緯は、民間が先行して、後発で国の制度が整備されたことから、このような誰にとっても違和のある仕組みが残存している。