まず、すず(Sn)の液滴を生成する装置である「ドロップレット・ジェネレーター」から、直径約25μmのすずの液滴が、毎秒5万発という極めて高い頻度で噴射される。次に、その一つ一つの液滴に対して、強力なCO2レーザーが2段階で照射される。
なぜレーザー照射が2段階なのか。それは、CO2レーザーを1発照射しただけでは、レーザー出力をいくら高めてもEUV光の発生効率が向上しないためである。強力なレーザー照射によってすずはプラズマ化し、そこから13.5nmのEUV光が放射される。しかし、すずが高密度のプラズマ状態になると、そのプラズマ自身によってEUV光が吸収・減衰してしまうという問題が生じる。
そこで考案されたのが、2段階照射方式である。1発目のCO2レーザーによって、すずの液滴をミスト状、すなわち霧状に分散させ、2発目のCO2レーザーで、その微細な粒子一つ一つをプラズマ化する。この方法を用いることにより、13.5nmのEUV光の減衰を最小限に抑えつつ、高効率で発生させることが可能となった。この手法は、日本の光源メーカーであるギガフォトンが開発したもので、「プリパルス法」と呼ばれている。
とはいえ、毎秒5万発ものすずの液滴に対し、2段階で高出力CO2レーザーを正確に照射し続けるということは、想像するだけでも気が遠くなるほど難しい。位置、タイミング、エネルギーのいずれかがわずかでも狂えば、EUV光は安定して得られない。LPP方式が、EUV開発における最大の難関とされてきた理由がここにある。
実際、2007年に開催されたリソグラフィの国際学会SPIEでは、基調講演者が次のように述べていた。「ここに銀河系がある。我々人類が住む地球は、この銀河系の中の太陽系に存在している。しかし、EUVの量産機は、地球から約10万光年も離れた場所にある。我々人類は、生存中にEUVの量産機にたどり着くことはできないだろう」(図3)。
筆者はこの講演を聞いたとき、思わず、EUVの量産機を入手するためには「宇宙戦艦ヤマト」が必要になるのではないか、と感じた。それほどまでに、EUV量産機への道のりは絶望的に遠く思えたのである。
そして、EUVの課題は、光源以外にも、レンズ、レチクル、露光プロセス、レジストと多岐にわたっていた。1つ問題を解決すると、また新たな問題が発生する。気がついてみれば、日本のニコンもキヤノンもEUV開発から撤退し、残されたのはオランダのASML1社となっていた。
