米国訪問中に半導体研究開発支援機関ニューヨーククリエイツを訪れ、ASMLの半導体製造装置が置かれたクリーンルームを見学するオランダ国王夫妻(資料写真、2024年6月12日、写真:代表撮影/ANP Photo/アフロ)

(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

AIが牽引して半導体と装置市場が過去最高を更新

 2022年11月30日、米OpenAI社がChatGPTを公開して以来、世界的な生成AIブームが巻き起こった。さらに、今年2025年1月20日には、中国の新興AI企業ディープシーク(DeepSeek)が、米OpenAIの「GPT-4」に匹敵する大規模言語モデル(LLM)「DeepSeek-R1」を公開し、生成AIの熱狂は一層加速した。

 LLMおよび生成AIの開発には、米エヌビディア(NVIDIA)のGPUをはじめとするAI半導体が不可欠である。このAI半導体の需要拡大により、世界の半導体市場は2024年に前年比約19%増の6268億ドルと過去最高を記録し、2025年も11%増の6970億ドルに達すると予測されている(図1)。

図1 世界の半導体市場と製造装置市場(2025年以降は予測値)
出所:WSTSおよびSEMIのデータを基に筆者作成
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 これに伴い、半導体製造装置市場も急拡大すると見込まれている。2024年には前年比6.4%増の1130億ドルと過去最高を更新し、2025年には7.1%増の1210億ドル、さらに2026年には15%増の1390億ドルに達する見込みだ。

 このように、半導体市場と装置市場はいずれも2024年以降、右肩上がりの成長が予測されている。

 しかし、両者には大きな相違点がある。