写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 2月13日、日産はホンダとの経営統合に向けた協議の打ち切りを決定した。業績悪化が続く日産は、この後、何らかの具体的な方策を早急に打ち出す必要に迫られている。果たして、どのような次の一手を打つべきなのか? シティグループ証券などで自動車産業のアナリストを長年務めてきた松島憲之氏が日産の現状を解説する。

なぜホンダと日産自動車の経営統合計画は白紙撤回となったのか?

 ホンダと日産自動車は2024年12月23日に両社の経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結、経営統合へ向けた協議を行い、持ち株会社を2026年8月に設立しその傘下に両社が入る計画を打ち出していた。しかしながら、2025年2月13日に開催された両社の取締役会が、経営統合に関する基本合意書を解約し経営統合に関する協議・検討を終了することに合意、経営統合計画は白紙撤回された。

 両社の経営統合計画失敗の要因をいろいろなメディアが解説しているが、内田誠社長を筆頭とする日産自動車の経営陣の執行能力不足を挙げる記事がかなり多い。

 両社がそれぞれ別に単独での生き残り戦略を図るのか、経営統合ではなくEVや自動走行などの戦略分野だけの部分的技術提携で仕切り直すのか、私は後者を選択すべきと考える。

 経営破綻リスクがある日産自動車との経営統合は、ホンダにとっても大きな賭けだったはずで、普通に考えればホンダ社内での反対意見も多かっただろう。日産自動車の急速な財務悪化の波にホンダも飲み込まれる恐れがあったからだ。