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(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=56ドルから59ドルの間で推移している。56ドル台後半で始まった原油価格は、地政学リスクが意識されて58ドル台半ばまで上昇し、その後、57ドル台に下落した。

 まず原油市場を巡る動きを確認してみたい。

ロシア・ウクライナ停戦合意せず

 週明けの市場の関心はロシアとウクライナの停戦交渉の行方だった。

 トランプ米大統領は12月28日、フロリダ州でウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。ロシアのウクライナ侵攻を終わらせるための和平案を巡り協議したが、領土問題で溝が埋まらず、トランプ氏は「合意に至らなかった」との認識を示した。

 これを受け、市場では「ロシア産原油の供給が限られる状況が続く」との見方が広がり、原油価格は1バレル=58ドル台に上昇した。

 市場はベネズエラの地政学リスクにも注目している。

 トランプ氏は29日、ベネズエラの犯罪組織が船に麻薬を積み込むための施設を爆撃したことを明らかにした。これが事実だとすれば、米軍によるベネズエラ国内での初の陸上攻撃となる。「米軍がベネズエラの原油輸出を封じ込めようとしている」との観測が広がり、市場での買いを誘った。

 ベネズエラの石油生産は苦境に立たされている。

 ブルームバーグは30日「国営ベネズエラ石油(PDVSA)は保管スペースが尽き、在庫が増加したため、世界最大級の原油埋蔵量を誇るオリノコベルト地域で油井の稼働停止を始めた」と報じた。減産規模はベネズエラ全体の生産量(日量約110万バレル)の15%に相当するという。

 トランプ政権はベネズエラ産原油の大口購入者である中国にも圧力をかけ始めている。