UAEがOPECプラスから脱退する可能性

 CNNは31日「健康に不安を抱えるイラン最高指導者の唯一の戦略は『様子見』であり、相次ぐ危機にデモ発生にも静観している」と報じた。

 イランは約40年で最悪の干ばつにも見舞われており、国民の生活は悪化する一方だ。

 イランで政変が起きる事態となれば、原油価格が急騰する可能性は排除できなくなる。

 中東地域の火種はまだある。

 サウジアラビア主導の連合軍は30日、イエメン南部のムカラを空爆した。

 サウジアラビアはこれに先立ち、「アラブ首長国連邦(UAE)が部隊を派遣してイエメン南部の分離派『南部暫定評議会(STC)』にサウジ国境に向けて進軍するよう圧力をかけている。この行動は自国の国家安全保障のレッドラインを超える」と警告を発していた。

 UAEはかつて、イエメンの親イラン武装組織フーシ派と戦うサウジアラビア主導の連合軍の一員だった。だが、その後、サウジアラビアが国際的に承認されているイエメン暫定政府への支援を続けているのに対し、UAEは暫定政府と対立するSTCに与するようになり、両国の利害は反するようになっていた。

 サウジアラビアの攻撃後、UAEが「イエメンに残る部隊を撤収する」と表明したことで当面は緊張が緩和されるだろうが、UAEがSTCへの支援を停止するかどうか不透明だと言わざるを得ない。

 両国の対立が続けば、原油輸入の8割超を頼る日本にとって一大事であり、世界の原油市場に大きな影響を及ぼすことは確実だ。

 OPEC第2位の原油生産量を誇るUAEは2021年、「自国の生産枠が小さい」としてOPECプラスから離脱する姿勢を示した経緯がある。石油政策に加え、安全保障面でもサウジアラビアへの不満が募れば、今度こそOPECから脱退してしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

 昨年(2025年)の原油価格は供給過剰への懸念がおもしとなり、2024年に比べ約20%下落した。このような状況下で、原油価格を下支えしているOPECの協調体制に乱れが生じれば、原油価格が急落する可能性は十分にある。
  
 サウジアラビア・UAE両国の関係について引き続き高い関心をもって注視すべきだ。

藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。