メディアはどうしてこの事実を伝えないのか
筆者の周囲には中国専門家が多いが、筆者同様、こうした中国市場における日本企業の影響がないことを知らなかった人が大半である。
また、筆者と同じ時期に中国に出張して同じように驚いたという話も耳にした。
中国専門家ですらこうした状況であるため、中国国内事情に詳しくない企業経営者の大半も同じような認識である。
日本企業の中国現地駐在の人たちから、本社の役員が中国出張を予定していたが、このタイミングで中国に入るのはリスクが大きいと判断して中国出張を取りやめた事例もあるという話も聞かされた。
このように、中国において日本人と日本企業が置かれている現状に関する日本国内の認識が中国現地の実態と大きく乖離している主な原因は、その事実を伝えていないメディア報道にある。
中国現地で出張中に意見交換した大手日系新聞の記者に対して、どうしてこうした事実を報道しないのかと質問してみた。
その答えは、「何も変わっていないというのはニュースではないので、伝えていません」というものだった。確かにそう言われれば、その通りではある。
しかし、このような厳しい日中関係が続く中、多くの日本人が、中国現地の日本人と日本企業のビジネスは大変なリスクやダメージに直面しているだろうと誤った認識を共有している状況は通常の事態ではない。
こうした状況を前提とすれば、高市発言後も何も変わっていない、街中のリスクやビジネスへのダメージは生じていないというのは価値のある情報である。
今からでも遅くないので、新聞、テレビ等日本のメディア各社には、こうした事実を報道してもらいたいと願っているのは筆者だけではないはずである。