トランプに負けない美女好き?

 友人のなかには、エプスタインの行動をネタに冗談を言う人もいた。

「ジェフとはもう15年の付き合いになる。良いヤツだよ」。トランプは2002年、ニューヨーク・マガジン誌にこう語った。

「一緒にいると本当に楽しいヤツだ。私に負けないほどの美人好きだとさえ言われている。それに、その美人の多くが比較的若い」

 ドイツ銀行がニューヨークの検察当局のために準備した報告書では、「著名な個人への主な送金取引」の表より長いリストが示された。この表には、「表向きは外国人モデル」への支払いの詳細が記されている。

 28人が記載され、名前はすべて伏せられている。支払われた金額の合計はおよそ87万5000ドルに上る。

 公開された文書によれば、エプスタインはこれ以外にも、MC2モデル・マネジメントに7万9440ドルを支払っていた。

 同社の当時のオーナーはジャン・リュック・ブリュネル。欧州の若いモデルをセックスのために米国に連れて行った疑いで起訴された人物だ。

 モデルたちはエプスタインが管理するニューヨークのアパートに住まわされたと言われる。ブリュネルは2022年、数十人の少女をレイプした容疑で再拘留されていたフランス国内の拘置所の監房で自死した。

エプスタインの自殺後も波紋は広がるばかり

 刑務所を出た後、エプスタインは自ら育んだネットワークを使って自分の身を世間の目や当局から守ろうとした。

 2015年には大手法律事務所ポール・ワイス会長のブラッド・カープをマンハッタンのタウンハウスでの夕食に招き、映画監督のウッディ・アレンと引き合わせた。

 カープはいたく感激し、「また招いてもらいたいが、あらゆる意味で本当に『一生に一度』(の経験)だった」とメールを後日送った。「あなたは類い稀なホスト役だ。それにあなたの家ときたら・・・!!!」

 かつて権勢を振るった弁護士――そして自分の息子をアレンの映画制作会社で働かせるためにエプスタインに口添えを頼むことになる人物――は、エプスタインから「たびたび」招くし、ほかの重要人物も紹介すると約束された。

 壁が迫ってくるのを感じたエプスタインはチョムスキー、バノン、サマーズに支援を求めた。カープにも声をかけた。

 ポール・ワイスは、エプスタインは事務所の顧客ではなかったと説明しているが、カープはエプスタインの弁護士から送られてきた1通の書簡をニューヨーク・タイムズ紙の「よく知っている論説委員」4人に転送してエプスタインを支援したようだった。

 この書簡は、エプスタインが2008年に交わした司法取引を弁護する内容だった。この取引のおかげで連邦当局からのより厳しい訴追を回避することができ、刑期も短くなった。

 結局、この人脈もエプスタインを救うことはできなかった。

 最終的に性目的の人身売買の容疑で逮捕され、ニューヨークのメトロポリタン矯正センターの監房に収容された後、2019年8月に自ら命を絶った。

 社交ポンジスキームはついに破綻した。そしてその影響は、その後もずっと広がり続けている。

(文中敬称略)