ベネズエラ攻撃で「ドミノ倒し」必至のキューバ

 トランプ氏が“噛みつき中”の中でも、ベネズエラ攻撃で風前のともしびとなっているキューバに注目したい。

 同国はカストロ氏率いる左派ゲリラが、1959年に親米政権を打倒して権力を握り、以来社会主義体制を堅守する、西半球で最古参の反米国家である。中南米で左派政権のベネズエラ、ニカラグアと共闘し、“反米三兄弟”の兄貴的存在で、中ロも強力にテコ入れする。

 だが今回のベネズエラ攻撃で、親中ロ国家が次々に親米へと転身する“ドミノ倒し”が起きる可能性が高い。

 すでにキューバは大きなダメージを受けつつある。これまで一大産油国の盟友・ベネズエラから融通される格安原油に依存してきたが、現在はエネルギー資源をほぼ自給できていないという。ベネズエラの親米化で、この道が事実上絶たれたからだ。

 一縷の望みとして、中ロにSOSを打診しているはずだが、ロシアはウクライナ侵略戦争の長期化、中国は国内経済の低迷という具合に、共に厳しい台所事情を踏まえると、軍事・経済・外交コストを勘案し抑制的にならざるを得ない。さらに対米関係も非常にシビアな状況にあり、必要以上にトランプ氏を刺激する行為も避けるだろう。

 1月4日付の英ロイターによれば、トランプ氏はベネズエラ攻撃直後、「キューバは崩壊寸前。自滅するので(アメリカが)軍事介入するまでもない」と余裕を見せ、キューバのディアスカネル大統領を早速揺さぶった。

 11日にはトランプ氏がSNSで、キューバ系2世のルビオ米国務長官を、キューバ大統領にとの案に対し、「いい考えだ」と賞賛したという。また、ディアスカネル氏に対しても、「手遅れになる前に取引に応じるべきだ」とSNSに書き込み、暗に退任を促している。

 どうやらトランプ氏はキューバを兵糧攻めにする作戦のようで、並行して虚実織り交ぜた情報を、意図的にメディアへリークしているようにも窺える。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、トランプ政権はキューバの現政権を年内に転覆させるため、政権内部で協力者をひそかに募っていると報じた。また、23日付の米ポリティコによれば、トランプ政権内でタンカーなど船舶によるキューバへの石油供給を遮断するため、海上封鎖が検討され、ルビオ氏も強く支持しているという。