トランプ政権の構想はどこまで実現可能か?

 デンマークが領有するグリーンランドには、大量のレアアースが埋蔵されているとされる。そのため米トランプ政権は、グリーンランドの領有への野心を隠そうとしない。年明け早々にも、その領有をめぐって欧州勢に対して強い圧力をかけたばかりである。

 米国が主導するレアアース貿易圏にEUが参加すれば、米国がグリーンランドの鉱山開発を進める道が拓けると、トランプ政権は踏んでいるのだろう。これは米欧の経済安全保障に資する取り組みであるのだから、米国によるグリーンランド開発を欧州は容認せざるを得なくなる。さしずめ、そのようなストーリーではないだろうか。

 そして、米国が開発した鉱山で採掘され、精錬されたレアアースを諸外国が輸入する体制が構築されれば、米国は中国のように外交の圧力のカードとしてレアアースを用いることができる。この貿易圏構想に参加せず、中国からレアアースを輸入し続ける国には高い関税を課すと圧力をかける定番の戦略・戦術を米国は取るのではないか。

 それに、米国が主張するレアアースの適正価格とは、果たしてどう設定されるのだろうか。中国産のレアアースが不当廉売されているなら、適正価格はそれよりも高くなる。ただし根本的な疑問として、圧倒的な供給量を誇る中国産レアアースを排除した適正価格など存在するのか。その適正価格を、各国は受け入れることなどできるのか。

 冷静に考えると、米トランプ政権の呼びかけは実現可能性に乏しい構想であると言わざるを得ない。結局のところ、ピーター・ナバロ貿易・製造業担当上級顧問や連邦準備制度理事会(FRB)のスティーブン・ミラン理事(元大統領経済諮問委員会委員長)らが描く米国第一主義、重商主義的な通商戦略観の延長線上にある構想に過ぎない。