10年前の「モスクワ訪問」を実現できなかった北朝鮮幹部はその後、銃殺

 すでに、昨年6月19日にプーチン大統領が平壌を訪問して、事実上の軍事同盟にあたる「ロ朝包括的戦略パートナーシップ条約」を締結。その前から北朝鮮は大量の武器をロシアに送っていたが、この条約に基づいて、昨年末には朝鮮人民軍がウクライナ戦争に「参戦」した。前線に赴いた朝鮮人民軍の兵士は1万人を超え、大量の死傷者を出しているとウクライナ側は発表している。

 そうしたことから、来たる5月9日の軍事パレードでは、朝鮮人民軍も行進することが決まっている。問題は、金正恩委員長が参加するかである。ある信頼できる「北朝鮮ウォッチャー」によれば、「金委員長はモスクワ行きを希望している」という。

 この人物が明かす。

「実は10年前の70周年の時も、金委員長はモスクワに行く気になっていた。それで当時の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(国防相)を、4月に先遣隊としてモスクワに派遣したのだ。

北朝鮮の人民武力部長だった玄永哲氏(右)。後に公開処刑された(写真:ロイター/アフロ)

 玄部長はモスクワでロシア側に、2つの要求を出した。1つは、モスクワで行われるロ朝首脳会談の『目玉』として、ロシア製の最新式地対空ミサイルの北朝鮮への売却の覚書を交わすこと。もう1つは、軍事パレードの際に、金委員長だけがプーチン大統領の隣席に座るなど、特別扱いすることだ。

 ところがロシア側は、どちらも『ニエット』(ノー)と、玄部長の要求を一蹴した。それで玄部長は『手ぶら』で帰国したが、『最高指導者に恥をかかせた』として公開処刑にされてしまった。金委員長の訪ロ計画もご破算となった」