2016年2月9日、東京・秋葉原電気街で旧正月の休暇中に買い物に歩き回る中国人観光客(写真:アフロ)

 めでたさも中くらいなりおらが春

 江戸時代の三大俳人の一人に数えられる小林一茶(1763年~1828年)が、正月に詠んだ一句である。華やかな正月を迎えたが、カネもなく、どこへ行けるわけでもないので、それほどめでたいわけではないという意味だ。「中くらいなり」という言い回しが、皮肉を込めた心情に響く。

 それで、何が言いたいかといえば、いま多くの中国人も、この一茶のような心情ではないかと推察するのである。

今年の春節は2月10日から

 2月10日土曜日、14億中国人が一年で最も待ち望んでいた春節(旧正月)を迎える。この日から17日まで、中国は8連休! あな羨まし。

 思えば、コロナ禍の前までは、春節を祝わない日本人まで祝っていたものだ。それは、中国から「爆買い」の観光客が大挙して訪れてくれたからである。

 私が初めて、「爆買い」の威力を思い知ったのは、いまから9年前の2015年の春節だった。東京で中国人観光客たちの「爆買いの聖地」と言われていたのが、銀座通りに面した7丁目の「ラオックス」。足を運んでみると、そこは本当に別世界だった。

2016年2月、中国人観光客が秋葉原や銀座で爆買いした商品を大型観光バスに積み込むスタッフたち。今となっては懐かしい光景とも言える(写真:アフロ)