彼はその後、「ダサイ!」と言い放った。「何のこっちゃ?」という表情の板前さん。中国でもつとに知られた山口の銘酒「獺祭」(だっさい)を注文したかったのだ。結局、この中国人カップルは、50万円近い勘定を銀聯カードで平然と払った。

 こんな思い出話、書き出したらキリがないのでもう止めるが、中国人観光客の「爆買い」たるや、げに恐るべし!

 それが2024年の春節は、「爆買い」どころか、一気に「爆消え」と化した。すなわち東京各地に、中国人観光客自体が、ほとんど見当たらないのだ。

爆買いが「爆消え」

 ちなみに、国家観光局の統計を確かめると、2023年の外国人訪日客は、コロナ禍前の2019年に比べて78.6%の延べ2506万6100人。つまり約8割まで回復し、今年はコロナ禍前を超えようというところだ。

 中でも、伝統的に多かった韓国の+24.6%、アメリカの+18.7%などばかりか、シンガポール+20.1%、ベトナム+15.9%、メキシコ+32.0%、中東+15.2%など、これまで比較的観光客が少なかった地域からも、着実に増えている。これは、マンガやアニメなど、日本のコンテンツ文化の影響が大きいだろう。

 そうした中で、中国だけが、2019年の959万4394人から、2023年の242万5000人へと、-74.7%! まさに「爆消え」の状態なのだ。