晴海フラッグに整備された東京BRTのターミナル晴海フラッグに整備された東京BRTのターミナル。その向こうにはタワマンが林立している(筆者撮影)

 2018年に役目を終えた築地市場(東京都中央区)跡地の再開発事業者が決定した。築地を含めた東京の湾岸エリアはタワーマンションが建ち並び、公共交通の整備が喫緊の課題となっているが、果たして今後どう変貌するのか。ライターの小川裕夫氏がレポートする。(JBpress編集部)

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定着しつつある「湾岸エリア=タワマン」のイメージ

 4月19日、築地市場跡地の再開発予定事業者として、三井不動産・トヨタ不動産・読売新聞グループ本社・鹿島建設・清水建設・大成建設・竹中工務店・日建設計・パシフィックコンサルタンツ・朝日新聞社・トヨタ自動車の11社連合によるJVに決定したことが発表された。

旧築地市場跡地の再開発についての記者会見旧築地市場跡地の再開発について記者会見する(左から)読売新聞グループ本社の山口寿一社長、三井不動産の植田俊社長、トヨタ不動産の山村知秀社長(写真:共同通信社)

 JVに東京ドームの親会社でもある三井不動産や、ホームスタジアムとして使用している読売ジャイアンツの親会社である読売新聞社などが名を連ねていることから、同地には読売ジャイアンツの新球場が新設されるのではないかとの観測も出ている。

9000億円をかけて再開発される旧築地市場(画像:共同通信社)

 東京~千葉にかけて東京湾に面した地域は「湾岸エリア」と呼ばれ、2000年前後から開発が進められてきた。都心回帰の追い風もあり、超高層の大規模タワーマンションが続々と姿を現している。

 今回JVにも参画している三井不動産は、戦後復興期にあたる昭和20年代後半から湾岸エリアの開発に注力し、幕張や船橋、最近では晴海などで次々と大型開発を主導してきた。これらの開発により、2000年頃から少しずつ湾岸エリアにタワーマンションが建ち始め、「湾岸エリア=タワマン」のイメージも定着しつつある。

 湾岸エリアにタワマンが並ぶ端緒を開いたのが江東区豊洲で、その起爆剤となったのが、三井不動産が開発・管理を手掛け、2006年に開業した「アーバンドック ららぽーと豊洲」だ。現在の豊洲から見ると、かなり低層感がある建物だが、同施設はタワマン居住者を支える生活インフラになっている。

 ららぽーと豊洲が開業する前の江東区の人口は、約39万7000人(2004年時点)だった。決して少ない人口ではないが、特筆するほど突出しているわけでもなかった。しかし、10年後の2014年には約48万7000人となり、2016年には大台の50万人を突破した。そして、現在では約53万2000人まで増えている。

 人口増は豊洲のタワマンだけによって引き起こされたものではないが、2010年頃には「タワマンといえば豊洲、豊洲といえばタワマン」と不動産業界からも注目される街になっていた。