広島県に誕生した初の女性知事・横田美香氏(筆者撮影)
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「けんせい史上初の女性リーダー」。

 自分の暮らしに直結する政治の世界で、10月、11月と立て続けに女性リーダーが誕生した。

 一人は、言わずもがなだが、「憲政史上初」の女性首相となった高市早苗氏。

 そしてもう一人は、広島「県政史上初」の女性知事となった横田美香氏。わたしの生活の拠点がある広島県の154年の歴史で、67代目にして初めて女性がリーダーとなったのだ。

女性活躍社会とは「男性以上に頑張る女性が活躍する社会」のことなのか

「私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いてまいります」。高市氏が、自民党総裁に選出(これも女性初)されたときに壇上でそう息巻いたのをみて、なんともいえないどんよりした気分になった。

 だが、そんな思いをX(旧ツイッター)で吐露すると、「女なのにどうして女性初を喜ばないのか」などと、ネットやらリアル社会やらあちこちで言われ、さらにモヤりを募らせたものだ。あれからもう2カ月が経つ。

 自分自身、新聞社という男社会でなんとかサバイブすべくそれなりにがんばってきたが、結局、マッチョ化した女性ばかりが誉めそやされる「女性活躍推進」ってなんなの?という気持ちになって退社した。そんな思いを、先月の小欄で記した。

「働いて×5」は結局、1日に発表された年末恒例「新語・流行語大賞」で2025年の年間大賞を受賞した。「初の女性総理、働いて働いて働いて働いて今があるのは間違いない」という文章が受賞者紹介・解説の文章にあるのを見て、またまたゲンナリした。「女性初」と「働いて働いて」がひも付く。

 結局昭和の「おっさん」史観でみた女性活躍推進って、こういうことなんだな。男の何倍もがんばるのが謎にデフォルト化されていて、そうやってようやく男に認めてもらうのが「活躍女性」なんだな、と。