女性対決となった知事選ながら低調だったジェンダー格差に対する論戦
新語・流行語大賞発表があった12月1日は、広島県政史上初の女性知事である横田氏の初登庁日だった。この日の午前中に行われた就任会見に、わたしも参加した。
初登庁し職員を前に訓示を述べる横田美香知事(筆者撮影)
広島県呉市出身、東大卒業後の1995年に農林水産省入省、富山県で初の女性副知事となるなど、エリート路線を歩んできた横田氏。4期16年を務めた湯崎英彦前知事の事実上の後継で、自民、立憲民主、国民民主、公明の各党の推薦を受け、組織戦を展開。磐石の体制で17日の選挙戦を制し、相対得票率82%で余裕の「午後8時当確」をものにした。一方で投票率は30%で史上2番目の低さだった。
女性候補同士が争う構図となった知事選だったが、「ジェンダー格差」に関する論戦はほとんど見られなかった。横田氏自身が積極的に、女性をめぐる社会課題や具体的な政策を民衆に訴える姿はなかった。
当選直後の報道各社の代表インタビューでも、「女性初の知事」となることへの思いを聞かれ、開口一番「施策をしていくのに、男女で何かをしていくというのはないと思う」と語った。