高騰し続ける首都圏の新築マンション価格(写真はイメージ)

 首都圏の新築マンション価格の高騰が止まらない。特に2023年3月には、首都圏平均価格が1億円を超え、東京23区だけに限れば2億円超えとなったほど。その後は比較的落ち着いた動きになったが、ここにきて再び上昇傾向となっている。業界関係者の多くはこれからも上がり続けると見ており、いまのうちに買っておいたほうがいいと考える消費者も一定数いる。果たして異常とも言えるマンション価格はどこまで上がるのだろうか──。住宅ジャーナリストの山下和之氏がレポートする。(JBpress編集部)

7月の平均価格を押し上げた「HARUMI FLAG」

 不動産経済研究所によると、首都圏新築マンションの平均価格は【グラフ1】のようになっている。2023年3月には首都圏平均で1億4360万円となり、単月では初めて1億円の大台に乗せた。


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 これは主に東京都港区で、ふたつの超高額の大型物件が分譲されたためで、その結果、東京23区に限れば平均2億1750万円と、何と2億円台に乗せた。

 そのひとつ「三田ガーデンヒルズ」(港区三田)は、総戸数1000戸超のうち321戸が販売されたが、価格帯は2億3100万円から最高41億円で、最多価格帯は3億8000万円だった。もうひとつの「ワールドタワーレジデンス」(港区浜松町)は167戸が販売された。平均価格は約2億5000万円で、平均4.8倍、最高81倍の競争率で完売した。この2物件が首都圏全体、とりわけ東京23区の平均値を大きく押し上げたわけだ。

 その後4月には首都圏平均が7000万円台に下がり、5月は8000万円台、6月は6000万円台に低下し、比較的落ち着いた動きになったが、7月は単月で過去最高となる9000万円台後半となり、前年同月比で見ると5カ月連続の上昇。再び1億円超えも視野に入ってきた。これは、東京オリンピックの選手村跡地に建設されている「HARUMI FLAG」(中央区晴海)のタワー棟が価格を押し上げたと見られている。

 そして、今年10月には「三田ガーデンヒルズ」と「ワールドタワーレジデンス」の次期販売が行われるため、またぞろ平均価格に影響を与えそうだ。この2物件とも3月に高額物件から売り出されたので、10月の上昇率はやや低下するかもしれないが、それでも平均で1億円超えとなるのは間違いないだろう。

 このように平均値で見る限りにおいて、首都圏の新築マンション価格は当分、上がり続けていくことになるだろう。

 ただ、東京カンテイのデータによると、平均値と中央値には700万円近い差があり、実態とは乖離している。中央値というのは、データを昇順または降順に並べたとき、ちょうど真ん中に当たる数値のこと。桁違いに高い、あるいは低い価格に左右されることが少なく、より実態に近い数値になるといわれるため、平均値にあまり惑わされないほうがいいかもしれない。