新築マンションを賃貸に回す人が増えている(写真はイメージ)

 マンション価格の高騰にともない、賃料水準も上がっている。そこで、さらなる値上がりや賃料収入による運用益の確保を狙い、マンション投資を行う人が増えている。エリアによっては投下資金を15年程度で回収できる魅力的な場所もあるというが、いったいどこで、どんな街の特徴があるのか。住宅ジャーナリストの山下和之氏がレポートする。(JBpress編集部)

分譲価格の高騰とともに賃料も上がっている

 新築分譲マンションの価格が上がり続けている。不動産経済研究所の調査によると、首都圏の新築マンションの2022年度の平均価格は6907万円。2012年度は4563万円だったから、この間に51.4%も上がったことになる。

 一方、東日本不動産流通機構によると、首都圏の中古マンションは2012年度には平均2515万円だったのが、2022年度には4343万円と72.7%も上がっている。新築で取得するときに必要な資金は増えているが、中古マンションとして売却するときの価値はそれ以上に上がっているというわけだ。たいへん魅力のある不動産投資先といえよう。

 しかも、賃貸で運用する場合の賃料も上がっている。

 東京カンテイによると、【図表1】にあるように、首都圏の1m2あたりの賃料は2022年5月には3333円だったのが、2023年5月は3498円と前年同月比5.0%のアップ。東京都だけでみると、2022年5月が3745円で、2023年5月は4037円だから7.8%上がっている。

 いまどきこれほどの収益を出せる投資先は珍しいだけに、分譲マンションを投資用に購入する人が増えるのも当然だろう。

 投資用・事業用不動産サイト『ノムコム・プロ』の「不動産投資に関する意識調査」では、【図表2】のグラフにあるように、1年後の不動産価格は「上がる」と答えた人が38.7%に達している。それに対して、「下がる」は21.6%で、「横ばいで推移する」が39.8%だった。

 ここ数年の新築マンションの高騰を受けて、「上がる」と答えた人は2020年には7.7%にとどまっていたのが、2022年には38.7%と4割近くまで増えているのだ。

 そのため、「投資用不動産は買い時だと思うか」と聞いたところ、30.9%の投資家が「買い時だと思う」と回答している。「間もなく買い時が来ると思う」の25.5%を加えると、半数以上の投資家が投資用不動産の購入チャンスと考えていることになる。

 値上がりによって資産価値の向上が期待できるうえ、得られる収入も増加しているのだから、そう考える人が増えるのも自然な流れだろう。