(山下 和之:住宅ジャーナリスト)
タワーマンション(超高層マンション)が増え続けているが、その開発はいまや都心部だけにとどまらず、地方のターミナル駅の駅前などでも進んでいる。すでに東京・大阪・名古屋の三大都市圏では建設適地を探すのが難しくなっているため、地方都市に開発の波が広がりつつあるのだ。しかも、首都圏などに比べて割安でタワマンを手に入れることができるとあって、人気も高いようだ。
なぜ地方でタワマン開発が増加しているのか
タワーマンションは、一般の中高層マンションに比べて分譲価格が高くなるものの、その分、希少性の高さや眺望のよさなどから資産価値が高く、物件によっては分譲後の値上がりも期待できる。
そのため人気が高く、富裕層や高額所得者、夫婦で高収入を得るパワーカップルなどに購入されているが、首都圏をはじめとする三大都市圏では、タワマン建設に適した利便性の高い場所、しかも一定の広さを確保できる用地の確保が難しくなっている。そこで今は地方の政令指定都市などでのタワマン開発が増加しているのだ。
マンションの市場動向に詳しい東京カンテイによると、2022年に竣工した三大都市圏以外の超高層マンションは12棟だったが、2023年の竣工予定は16棟に増えている(東京カンテイ『2022年タワーマンションストック数』より)。
特に、2023年竣工予定の超高層マンションをみると、いわゆる「地方四市」(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)のある道県で増加が目立っている。札幌市のある北海道が4棟、仙台市がある宮城県が3棟、広島市のある広島県が2棟、福岡市のある福岡県が2棟という具合だ。
毎年全国の超高層マンション動向を調査している不動産経済研究所も〈今後の超高層マンションは、東京都心部や湾岸エリアだけでなく、地方中核都市でも超高層大規模開発や複合再開発プロジェクトなどが数多く控えている〉と報告している。