青山霊園に隣接するマンションも高層階は人気(写真:kawamura_lucy/イメージマート)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 日本には都市計画法という法律がある。平たく言うと、地域ごとに開発規制をかけるものだ。この法律があるため、整然とした街並みが維持される。

 例えば、工業地域に指定されたエリアには工場は建つが、住宅は建たない。一方、湾岸エリアのような準工業地域には、工場が敷地を売却したことで、マンションがたくさん建つようになった。

 低層の住宅地ばかりが集まれば、戸建てばかりの閑静な街になるが、コンビニやスーパーなどの商業店舗は出店できないので、買い物という面では不便になる。この辺は一長一短である。

 都市計画図はインターネットで閲覧することができるので、居住地の建物の用途や高さの規制は押さえておきたいところだ。

 その中で特に気を付けることは、工場とホテルと歓楽街だろう。

 工場は川や海の近くに多く、土壌汚染がひどいケースがある。増水で氾濫するリスクもあるため、不動産価格は低く抑えられがちで、その周辺に住む人の年収は総じて低くなる傾向が高い。住宅地としては嫌われる傾向があるということだ。

 ホテルの建設が可能な地域では、ファッションホテル(いわゆる、ラブホテル)が建てられる可能性がある。人目を嫌うようなファッションホテル街は、日常的に目に入れたくない場所だろう。代表的な駅で言うと、鶯谷だ。駅前には、そうしたホテルがたち並ぶ。

JR鶯谷駅前。奥にはラブホテルの看板が見える(写真:kawamura_lucy/イメージマート)

 さらに、歓楽街は商業地だけに許される。夜には呼び込みが路上におり、お酒が入るためにトラブルも多く、犯罪が起きることもある。こういった地域は居住地としては避けたいところではないだろうか。

 仮に自宅から離れているとしても、駅から自宅までの経路にそうした場所がある場合は、実際に自分の足で歩き、夜の時間帯の実情を確かめた方がいい。

 これ以外で言うと、人の死に関わる施設も忌み嫌われる。斎場・墓地・霊園などだ。こういった施設は都市計画の対象になるので、住宅地に忽然と存在するケースは稀だが、誰もがお世話になる施設だけに隔離されているわけでもない。